カーナビ今昔ファイル01

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1990年、市販カーナビが誕生した!

初の市販カーナビ、カロッツェリアAVIC-1
市販カーナビの第1号機は、1990年に登場したカロッツェリアAVIC-1。4型程度のほぼ真四角な地図に自分の居場所が表示されるだけでルート探索もできない、いわゆるロケーターとしての機能しかないものだった。だから、AVIC-1はカーナビゲーションではなく、サテライト・クルージング・システムと名付けられていた。



このAVIC-1、地図がスクロールしなかった。地図上を自車マークが動き、自車マークが端にたどり着いたら次の地図が切り替わるという方式だったのだ。当然、ヘディングアップも無く、地図は北上固定だ。今のカーナビは、自車マークが固定で、走行に応じて地図がスクロールし、進行方向を常に上に表示できるが、そんな今のカーナビを見慣れた人は、きっと驚くと思う。

自車位置がわかるのは1日のうち4時間程度のことも

しかも、当時はGPS衛星の数が少なかったため、現在のように常にGPSで測位できるという状況ではなかった。条件が良ければ、1日のうち半日ほど測位でき、日によっては1日4時間ほどしか測位できないということもあった。しかも、測位できる時間は深夜が多かった。今でも、衛星の数を確認できる天空図を表示できるカーナビがあるが、あれは当時の名残といえよう。

AVIC-1のデモカーは、たしかニッサン・パルサーGTIだったかと思うが、クルマが乗りにくい上に測位できる時間待ちが長く、取材&撮影に手こずったものだ。今だからばらすが、当時はカナック企画にパイオニアの車載機器のカタログ写真を撮るスタジオがあり、しばしばそこを借りて撮影したりもしていた。今なら、電話番号なり住所なりで目的地を検索して設定すれば誘導してくれるが、その頃は、紙の地図が必須。目黒から水元に向かう途中、大半は自車マークが黒い二重丸で表示され、たまにGPSが受かると赤い丸に変わる。それだけで、大騒ぎしたものだ。

それでも、アメリカが打ち上げた軍事衛星の情報を使い、走行中の自分の居場所がクルマの中にいながらディスプレイの地図上でわかるのは画期的。大いに将来性を感じ、ワクワクしながらデモカーで都内を走り回っていたものだ。(ファイル02に続く)