今こそヴォイスコントロールを見直すべき!?

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カーナビのUI(ユーザー・インターフェイス)は年を追うごとに変化し、最近はスマートフォン風の操作を採用したモデルが増えているが、カーナビにとってどんなUIが適しているのか考えてみた。



市販カーナビの1号機
カロッツェリアAVIC-1
市販カーナビの第1号機であるカロッツェリアAVIC-1は、タッチパネルどころかリモコンも採用されておらず、画面の周囲にあるハードキーで操作していた。その後、ワイヤード式のリモコンやワイヤレス・リモコンで操作するタイプが登場。そのリモコンも当初は十字キーで上下左右のスクロールしかできなかったものが、ジョイスティック採用機の登場で斜め方向のスクロールが可能になるなど、細かいことをいうとキリがないが、いまではタッチパネルに落ち着き、スマートフォンのようにフリック、ドラッグ、ピンチイン、ピンチアウトといった操作ができるものも増えてきてる。

その間、鳴り物入りで登場したわりにあまり普及せず、いまや絶滅状態にあるものがヴォイスコントロールである。記憶が正しければ、ヴォイスコントロールを採用した市販カーナビの第1号機は、カロッツェリアの初代楽ナビだったか。確かに、認識率やレスポンスなどの問題はあったが、それらを抜きにし、運転時の操作の安全性という点においては、ヴォイスコントロールは、カーナビにもっとも適したUIではないかと思う。

第一に、発話ボタンを押してしゃべればいいだけだから、ステアリングから手を離さなくても操作できる。第二に、操作時に画面を凝視しなくていい。運転時の操作の安全性という面で、カーナビにはブラインド操作が求められるわけだが、ヴォイスコントロールなら、確認のために画面をチラ見することはあっても、タッチパネルやリモコン操作の時よりは、画面を見る時間が極端に短くてすむ。現状のカーナビのUIの中では、もっともブラインド操作に近いのが、ヴォイスコントロールだと思う。

認識率やレスポンスといった課題は残るが、今なら解決できる術はいくらでもあると思う。というのもiPhoneではSiriがあるし、スマホのGoogle検索にも音声認識がある。それに対して、あまり不満は聞かない。おそらく、その程度の認識率やレスポンスであれば、許してくれるだろう。従来のようにカーナビに音声認識エンジンを持たなくても、スマホの通信を使い、クラウドの高性能な音声認識エンジンおよび検索データを活用することだって可能。今なら、そちらのほうが現実的だろう。いざとなったら、Siriをそのまま使うことだって可能だろう。

Siriのおかげで、ヴォイスコントロールに対する抵抗感も大幅に薄まったような気がする。僕も以前のサイバーナビを使っていた時は、ヴォイスコントロールを多用していたものの、一人でクルマに乗っている時はいいとして、横に誰かを乗せた時には、ちょっと恥ずかしくてタッチパネルで操作していたもの。そんな気恥ずかしさも、Siriのおかげでずいぶん緩和されたように感じる。今なら、横に人が乗っていようと、普通にヴォイスコントロールを使えるような気がする。

今後、ますますカーナビとスマートフォンの親和性は強まって行くはず。ならば、再びヴォイスコントロールを見直すべきではないかと思う。