トヨタが従来のテレマティクスサービス「G-BOOK」に変わる新サービス「T-Connect」を発表。6月18〜20日に東京ビッグサイトで行われたスマートコミュニティJapanに展示しているというので、見にいってきた。


このT-Connectは、Wi-Fi搭載のトヨタ純正T-Connectナビを装着したクルマで実現するサービス。「エージェント」「apps」「オンラインケア」がサービスの3本柱だ。

エージェント、Apps、オンラインケアがサービスの3本柱

「エージェント」はクラウド型の音声対話による検索機能。au Wi-FiスポットやスマートフォンのWi-Fiテザリングを利用したWi-Fiリンクサービスでトヨタスマートセンターの音声対話システムに接続し、施設の検索やニュース、天気等の情報検索ができる。最近のいくつかの市販ナビでも採用されている対話型音声検索と異なるのは、通り名や駐車場といった条件を付加できること。たとえば「明治通りの蕎麦屋を探して。駐車場付きで。」と問いかければ、駐車場のある明治通り沿いの蕎麦屋を探してくれる。基本的にはロボットヴォイスと対話するのだが、それで埒があかない場合は「オペレーター」と言えば生身の人間のオペレーターが対応してくれる。スマホ用のナビアプリ「Smart G-BOOK」ですでに対応しているが、そこまでフォローが行き届いているのがトヨタらしい。

明治通の蕎麦屋を検索してみた

また先読み情報案内サービスは、純正システムならでは。ESPO（エコドライブ・サポートシステム）対象車なら、燃料の減り具合によってルート沿いにあるガソリンスタンドを自動的に提示してくれるし、他車のVSC等、横滑り防止装置が作動したのを検知すると「周辺車両のスリップを検知しました。ご注意ください。」などと教えてくれたり、気象情報を自動配信してくれたりもする。また、使っているうちに、よく行く行き先を自動予測して、わざわざ検索しなくても自動的にリストアップしてくれる行き先自動予測という機能もある。

「Apps」はスマートフォンのようにアプリをカーナビにダウンロードして利用できるもの。TOVA（トヨタ・オープン・ヴィークル・アーキテクチャー）という仕組みにより、一般デベロッパーがアプリを開発＆提供できるよう、SDKを提供することにしており、会場でもデベロッパーの募集をしていた。アプリは位置や車速、燃費等の車両情報の利用も可能。現時点では、ブレーキのスムースさを診断しゲーム感覚でブレーキ技術を向上できる「停止の達人」、仲間同士で現在地や目的地を共有しながらドライブできる「コミュマップ」をはじめ、いくつかのアプリの提供が予定されている。わざわざ、カーナビにダウンロードしなくても、スマホがあればいいんじゃない？　とも思うが、カーナビにダウンロードすることで、例えば地点情報をスマホからカーナビに転送するという一手間が省けるし、スマートフォンを持っていない人も使える。アプリのカーナビへのダウンロードは、DCM（通信モジュール）、またはスマホや携帯電話のパケット通信を利用し、Bluetooth経由で行う。

カーナビアプリをダウンロードできる

オンラインケアは、現在G-BOOKやSmart G-BOOKでも好評の機能で、T-Connectスマホアプリをインストールしたスマートフォンやタブレットで使う。おもなサービス内容は、事故などの緊急時にワンタッチで消防や警察に連絡できるヘルプネット、VICSやトヨタ独自のプローブ情報を活用して最適なルートを案内するTルート検索、新しい道路情報を通信経由で随時更新できるマップオンデマンド、オペレーターサービス、マイカーSecurity、ESPOなど。DCM搭載車なら、スマホや携帯電話が無くても、オンラインケアのサービスができる。

ほかにT-connectスマホアプリにはほかに、T-Connectナビの目的地を引き継いで、駐車場などから目的地までの徒歩ナビをスマートフォンに自動設定できるラストワンマイルや、マイカーの燃費、走行距離、運転時間、平均速度といった情報をスマホで確認できるマイカーログといった機能もある。

このように機能やサービスを羅列してみると、とくに目新しいものは無く、これまでトヨタが行っているサービス、他の市販ナビに似たようなシステムがすでにある機能をT-Connectという名の元に統合したものという印象ではある。が、最終手段としてオペレーターを活用できる音声検索は、ロボットヴォイスだけの音声検索よりも確実だし、先読み情報案内も興味深いサービスだ。Appsは、どれだけ魅力的なアプリが増えるかが勝負だろうが、トヨタが次世代テレマティクスサービスと打ち出したものだけに、今後の動向に注目したい。

・T-Connect


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